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瞼を閉じた、世界が眠った。
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この世界をどの視線から見たってわたしたちはただの人にしかすぎないと思う。しかし、この何億人もの人々の中にたった数人だけ神の子が落ちるとしたら、それは


「わたしだ」


わたしは神の子である。理由はわたしが神の子でありたいから。
神は男である。神の世界は一夫多妻制であるため一日にひとりは子供が産まれるんだ。そのうちの人間らしい子供は下界に落とされる。それが運命。

そして、それをわたしが望んだ。


「神なんて居やしないのよ」

「捨てられてもわたしの父上よ」

「あなたのお父さんは居るでしょ」

「あれは偽者よ」

「じゃあ、お母さんはなんだっていうの?」

「わたしはあそこの家族に落とされたの。だから皆、偽者」


溜息をつくと、更にわたしの答えに問いた。
まるでわたしがおかしくて、尋問するかのように何度も、何度も。わたしが神の子だなんて嘘と言い、神なんて居ないと言い、現実を見ろと言う。


「そもそも見たこともなんでしょ?そんなのおかしいわ」


何がどうおかしいのだろう、教えて欲しい。わたしはどうしてそんなに自分の父上のことについて否定されなければならないのだろう。


「あなたはあなたの母親のお腹から産まれてきたの。もちろん私も」


そうだ。わたしはわたしの母上のお腹から産まれてきた。しかし、母上は父上と共に一緒に居る。つまりここには居ない。わたしが生まれてすぐわたしはここに落とされたのだ。


「単なるそれは逃げてるだけよ」

「それじゃあ、わたしの両親を見せてあげようか」

「あなたの父上、ああ神だったかしら?」


嘲笑うかのように父上のことを呼ぶ。
わたしは知っている。わたしがこの世界に落とされたのはこういう人間を裁く為なのだと。父上を信じないものをいちからやり直させる為なのだと。だからわたしはここに落とされた。きっと、わたしを含めほんの少しだけ散らばっているだろう神の子。その人たちも同じ使命を負い、父上の権力を思い知らせるのだ。でもそれを出来るのは優秀な神の子のみ。親元を離れても生きていける精神力と、判断力、そして忠誠心。わたしは父上を愛している。


「じゃあ、いってらっしゃい」


響き渡る悲鳴。彼女は父上に会いに行った。愛に逝った。でもまたこの世界に戻れるかはあなたが優秀だったらね。わたしみたいに。



「わたしは神の子だ」








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分かる人には分かる
鬼束ちひろの月光
大体それを連想して書いたもの

単なる神の子って書きたかっただけだけど





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