ナイフとフォークで
苺をぱくり、
「パパ、美味しいわ」
パパはこの苺はとても貴重だ、と言った
ヒトリに1つだけ取れるんですって
大きなお皿に載せられた苺を眺めながら
ひとくち、またひとくちと口に苺を運ぶ
「パパが一生懸命取ってきたんだ」
「ありがとうパパ!」
真っ赤で大粒の苺
今時の苺は茹でるのね
ママは生より茹でた方が良いって
テーブルにある苺は全部茹でたの
それから冷蔵庫で冷やして
今ここにあるの
「ママ、これ動いてる」
「あら、活きが良いのね」
「苺は動かないわ」
パパとママは顔を見合わせて困った顔をする
私はどうしてそんな顔をしているのか
全く分からなかった
きっと生なんだわ、と
うきうきと初めて生で食べる苺を
フォークで刺し
自分の皿に移した
「ママ、生だとこんなに果汁が出るの?」
パパとママは黙っている
そしてパパとママは苺を食べない
昔からそうだった
2人は全く食べなかった
私の為と言い毎日買ってきてくれた
「生の苺はこんなに果汁が出るのね!今度から私生で食べたいわ!」
生の苺を一口サイズに切って食べる
けど、真っ赤な果汁を口の周りにつけながら
食べる娘を2人はだた見つめるだけ
「ねえ、どうして生の苺は血の味に似ているの、?」
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どっかでありそうだよね
所詮ぼくの脳内は
他人の範囲に入っちゃう
苺=心臓
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