「また、やっちゃった」
悲しげに淋しげに発する彼女。
無理して笑って私に言う。
自ら自分の躯を傷つけるその行為。
人はよく馬鹿にする。
私はやったことは無い。
けど、やっている人の気持ちは分かる。
死にたくてやっている訳じゃない
生きている証が欲しくてやっているんだ
「・・・・・・」
「冬だから良いけど、夏はやばいよね」
冗談なのか本気なのか良く分かりにくいが困りながら笑う彼女。
彼女の瞳は決して私の瞳を見てくれない。
私と話していてもいつも視線はどこか遠い所を見ている。
彼女と話すといつも胸が空っぽになる。
私の心ごとすっぽり掻っ攫われたみたいに。
「なんか、もう嫌だよ・・・」
「・・・・・・」
私に声を掛ける権利などなかった。
いつのまにか優しく声を掛ける言葉を探していた。
なのに、私の手は彼女のやってしまったという手首を強く、強く握り締めていた。
彼女は一瞬、痛そうな声を漏らすが振り払おうとはしなかった。
私は唯、この憤りのない苛立ちと虚しさを堪えていた。
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ちょっと実話が入ってるフィクションです。
何かこういったショートストーリーで何か伝えられたらいいな、と思う日々。
ハッピーエンドとかで終わる小説はあまり好きじゃない。
印象が薄くなる。
どうせなら、印象を残して終わりたい。
俺の人生も全て。
馬鹿にする奴も居ると思うけど、
きっと其の中に伝わる人も居ると思う。
何て、
整理の付かない思考。
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