ナイフを

突き放して 突き落とされて
落ちた先はきっと自分のベッド

安堵した弾みに壊れるスプリング

今日泣いても
明日は笑える

熱い朝には淋しさを
寒い朝には裏切りを
他人の優しさには偽善を
下らない人生にはナイフを

突き刺した鏡の自分に舞い上がり
浮上した先はきっと病院のベッド

責任の重さに壊れるスプリング

今日笑っても
明日は泣ける

等身大の罪に凝縮した悪

裏切りにはナイフを
拭えない罪にはナイフを
人生にはナイフを

ナイフを

二次元？三次元？

嬉しさ有り余って皮肉
壁殴って自信喪失

奪われた言葉はリアリティ

掌から広がる可能性
我慢の渦の耐久性

擦れ違って返り血

戒めの痕は自惚れ
心も体も一目惚れ
脳内コンプレックスだらけ

ラストダンスのお相手は、

本当と嘘の昔話

嘘、全部、嘘

吐く息も
見える視界も
話す言葉も
聞こえる声も

神様だけが知っている？
違う違う
わたしだけが知っている

嘘か嘘じゃないか

本当があるから嘘になるんだ
じゃあ、本当なんてなくなれば
嘘は本当になれる？

昔話、全部、昔話

ちょっと迷子になった
そんな昔話

標識

右と左と後ろと前
いつでも自分基準の心地よい言葉

わたしの右はわたしの右であって
あなたの前ではない

あなたの左はわたしの右であって
あなたの左ではない

軽い言葉遊びに
泣かせて怒らせて曖昧に消した

誰も見やしない

逆行なんて知らない

あなたにとって後ろでも
わたしにとって前だから
行き違いすれ違い
赤いポールがやけに邪魔

ミラー越しに遠のいて
わたしは標識通り
点滅した信号機を無視して
点滅する黄色を邪魔した

あなたの右はわたしの左であって
わたしの後ろではない


暗い視界に点滅だけが酷く目に痛い