私

霞んだ視界に見えるのは
小さく微笑む私

誰かの背中を見つけて
声を掛けて
振り返ったのは私

鏡の私だと思い
手を重ねたのは私

いつの間にか苦しくて
密かに拳を作り
声を押し殺して泣いたのは

防音硝子

音で誤魔化して
世界を茶化す

誰も知っちゃ居ないんだ
たかが有り触れた予測

事実なんてお構い無しに
予想してそれを真に受けて
これからどうなるんだ
これからどうするんだ
意味も無く焦り騒ぐ

単調に複雑に
音で呼吸を整えて

ガヤガヤと硝子の向こう

Cann't

吐き出した言葉がちょっと
棘ある偽善と気づいた明日

何して何を思い
ぼくらは言葉を使う

言葉がぼくらを使ってるのか
分からなくも無い少し

涙を堪えるのが快感なって
悲劇のヒロイン気取って
強いふり弱いふり
人間って上手いものね

正論が本音というわけではない

記憶増築、嘘をちょっと
多少のズレはご愛嬌

微かに聞こえた本音
「もうやめてしまいたいよ」
いい子、黙ってなさい

笑顔が脅す
沈黙の凶器


もう戻れない

もう戻れない

ヘッドホンの切ない声明

切ない切ない切ない

耳を塞いだヘッドホンが
雑音と共に流れる
シンプルに複雑に

現実を遮断する

罪悪感に染められた本音が
今にも零れそうに
鼓膜を刺激する

屈折した感情が
わけもなく溢れ出した

いいえ、切ないの