交通事故

湿った道路が愛おしくて
流れていく貴方の体液が切なくて

どんなに時間が経とうとも
貴方の最後が消えない
こうやって
貴方は流れていくのに

綺麗になってしまった道路に
そっとキスをした

相殺、そして自滅

どこにもいけない苛立ちが
小さな管を通って
ぐるぐると時間稼ぎ

その間にわたしは妥協を覚え
苛立ちを慰める

泣かないで。

大丈夫、苦しくなったら
殺めてあげるから

最低限は頑張りなさい
最大限に欲張りなさい

わたしは相殺を覚え
その度に自分を殺した

泣くことは無意味。

苦しいなんて思いこみ
悲しいなんて思いこみ
楽しもうとしないから楽しめない


ばいばい、わたし

神が名付けた罪

無機質
それは私を示す罪

ざらついたコンクリートが快感

神に散々慈しまれて
リセットされた

神は私を愛でた
私は神を信じた
神は私を、

視界が点滅した

斑点

立ち止まって待ち惚け

傾く世界に手を振って
出てくる明日に手を差し伸べて
明日を道連れに
私は止まる

雑音に成った音たちが
意味も無く喚いた

白濁とした空を
真っ赤にしたくて
ナイフ片手に切り裂いた

切っ先に赤
明日は私を道連れに
連れまわす

私を連れて行くのは明日だけ