世界の音が煩い日

「煩いよ」

帰り道、独りで呟く
自動車の音が、他人の会話が、世界の声が
全て私を支配する雑音

耳を塞いでも
目を瞑っても
息を止めても

止むこともない雑音


「一緒に帰ろう？」


君は後ろから優しく微笑む
私が居て良かったかのように。

断る理由もなければ、一緒に帰る理由も無い。
けど、複数の雑音を聞くのだったら
君の雑音がいいかな、何て不覚にも思った。


世界の音が煩い日。



綺麗な音を醸し出す君は世界と共鳴していた。

何故、そんなにも強く生きられるのか。


家に帰ってからの議題になった。



世界の音が煩い日。

愛しい

「何してるの？」



なんて、君は純粋に問う。

見えるだろ？
泣いてるんだよ。

聞こえてるだろ？
叫んでんだよ。

知ってんだろ？
こんなんになった理由。


「独りなだけ」


体育座りしてまた顔を俯けた。


君の匂い。

君が傍に居るだけで僕は良かった。
君の傍に居たかった。
君を抱きしめたかった。

でも、傍に居るだけでいいから
隣でずっと居てくれるだけでいいから


今を認めた。

君が愛しい。