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瞼を閉じた、世界が眠った。
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「また、やっちゃった」


悲しげに淋しげに発する彼女。
無理して笑って私に言う。
自ら自分の躯を傷つけるその行為。
人はよく馬鹿にする。

私はやったことは無い。
けど、やっている人の気持ちは分かる。



死にたくてやっている訳じゃない
 生きている証が欲しくてやっているんだ



「・・・・・・」


「冬だから良いけど、夏はやばいよね」


冗談なのか本気なのか良く分かりにくいが困りながら笑う彼女。
彼女の瞳は決して私の瞳を見てくれない。
私と話していてもいつも視線はどこか遠い所を見ている。
彼女と話すといつも胸が空っぽになる。
私の心ごとすっぽり掻っ攫われたみたいに。


「なんか、もう嫌だよ・・・」


「・・・・・・」


私に声を掛ける権利などなかった。
いつのまにか優しく声を掛ける言葉を探していた。
なのに、私の手は彼女のやってしまったという手首を強く、強く握り締めていた。
彼女は一瞬、痛そうな声を漏らすが振り払おうとはしなかった。

私は唯、この憤りのない苛立ちと虚しさを堪えていた。




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「もし、貴女が欲しいもの1つだけ叶えてくれるなら何が欲しい?」


あたしの質問は可笑しかった。
欲しいものを1つだけ「叶えて」くれるのだ。
手に入る、のでは無く叶えてくれる。
君はこの質問を如何受け止めるだろうか。


「何でもいいの?」


「うん」


君は一度空を見上げた。
そして、目を瞑る。
あたしはその姿をただ漠然として見ていた。


「別に何でもいいや。唯、この時間がもう少しだけ長くなれば」


君が純潔に見えた。
今まで同じ道を歩み続けてきたのに。
手を汚し、未来を捨てた。
なのに、君はまるで汚れていないかのように語る。
苛立ちが込み上げる。
同じ時間を過ごして同じ道を歩んで同じように過ごしてきたのに、汚れてるのはあたしだけで君は輝いている。

あたしの心は不思議と虚しさだけでいっぱいになった。


「何にも変わってないね」


そう、変わっているのはあたしだけ。
急に心臓が蠢き始めた。





消えてしまえ。

何度も言われ、言い続けた言葉。
私が消えて欲しいと願う人がいれば、
私に消えて欲しいと願う人もいる。


それくらい嫌いで仕方がない。



痛いくらい分かる感情。
怖いくらい伝わる殺意。
恐ろしいほど嘘を付く自分。

認めたくない。
自分を否定する人間なんて。

知りたくない。
自分を不必要とする人類なんて。


だから、私は貴女にそれを言うことで存在を其処に絡み付けた。


それくらい私は私を認めてくれないのが怖い。




『無意味な感情』



怖いだの、消えろだの、嫌いだの。
生きていくには不必要だ。
そんなの捨ててしまえ。
笑うことも、泣くことも、楽しむことも。
全てが私を必要とする人材と成れば良い。

そうやって黒に染まってく。


「嫌だ」

リアルな感触。
汗ばんだ掌。

夢だ。
夢だった。

全部。

・・・全部?


違う。
違う夢なんかじゃない。

あれは間違いなく私の感情だ。
あれは幻像だったとしてもあの感情は本物だ。





崩された。




唯一、認めたくない私の心に秘めた決意を。
私の弱さを。
別に誰に何と思おうと構わなかった。
でも、崩された。

それだけは認めたくなかった。

私の中のもう独りの自分に。





「ああああああああ・・・!」




叫ぶしかなかった。
涙を流すしかなかった。
認めざるを得ないかった。
弱い私。






「喜びを得るには努力が必要だ」


彼はそう言った。
悔しいくらい似合うスーツ姿で。
何の迷いもない真っ直ぐな瞳で私を見つめながら。


「努力をすれば喜べるの?」


悔しかった。
分かってる、私の言う事はただの屁理屈だ。
まともに努力をした事がないのにしたような振りをしてただ、悔しさゆえに出任せに言う。
彼は何も言わなかった。


「貴方は喜びを手に入れた?」


違う。
こんなことを言いたいんじゃない。
でも、彼を見ればいいたくなる。
しばらく合わなくなって久しぶりに見たかと思えば前より一段と痩せ、仕事に餓えているようだった。


「努力は喜びを保つためにするものだ」


「努力をしたら喜びを得られるのではないの?」


「得た時はまた努力の理由が異なる」


喜びを維持しようとまた努力を重ねるのだ、と彼は続いて言った。
違う。
違わない。
頭の中でざわめいた。
結局、私は分からない振りをして甘えていたのだ。
認めたくない私の中の誰かが。
努力をしなければ幸は来ないのか。
自問自答を繰り返し、彼を壊した。
私は逃亡者。
彼は警察官。
また、罪を犯した。
努力とは一瞬の狂いで全てが崩れるのだ。
例えば私みたいな猫かぶりは特に、ね。




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