本当と嘘の昔話

嘘、全部、嘘

吐く息も
見える視界も
話す言葉も
聞こえる声も

神様だけが知っている？
違う違う
わたしだけが知っている

嘘か嘘じゃないか

本当があるから嘘になるんだ
じゃあ、本当なんてなくなれば
嘘は本当になれる？

昔話、全部、昔話

ちょっと迷子になった
そんな昔話

標識

右と左と後ろと前
いつでも自分基準の心地よい言葉

わたしの右はわたしの右であって
あなたの前ではない

あなたの左はわたしの右であって
あなたの左ではない

軽い言葉遊びに
泣かせて怒らせて曖昧に消した

誰も見やしない

逆行なんて知らない

あなたにとって後ろでも
わたしにとって前だから
行き違いすれ違い
赤いポールがやけに邪魔

ミラー越しに遠のいて
わたしは標識通り
点滅した信号機を無視して
点滅する黄色を邪魔した

あなたの右はわたしの左であって
わたしの後ろではない


暗い視界に点滅だけが酷く目に痛い

確信犯

ひらり、覚えたてのリズムで
翻弄 微笑 確信犯

やけに凛と歩いて
貴方だけを振り向かせる
そんな器用なことは出来ない
嫉妬すればいいわ

追いかけるのは貴方
追いかけられるのは私

ふわり、知らない人の匂いが
やけに不安を煽る 確信犯

やけに紳士に振舞って
私以外と笑い会う
やけに器用なことをするのね
嫉妬なんてしないわ

追いかけるのは私
追いかけられるのは貴方


策士な貴方には勝てそうにもない

暴走

感情が暴れた

突如、悲しむわけでもなく
優越に楽しむわけでもなく

わたしの中で感情が暴れた


届かなくなったわけじゃない
触れなくなったわけじゃない
聞こえなくなったわけじゃない
どれもしなかったんだ

全部壊すまで止まらない