忍者ブログ
瞼を閉じた、世界が眠った。
[1] [2] [3] [4] [5] [6] [7] [8] [9] [10] [11]
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。








モノクロで綺麗にグラデーションになる世界は色にこだわりはせず、音にひたすらこだわった。色は昔に色褪せ、黒と白以外は他の賑やかな世界に行ってしまった。この世界に残され、この世界が求めた音は、この世界の人々に応えることもせず己で在り続けた。一方、カラフルなグラデーションになる世界は音にごだわりはせず、色にひたすらこだわった。音は昔に消え失せ、静寂という音以外は他の賑やかな世界に行ってしまった。この世界に残され、この世界が求めた色は、この世界の人々に応えることもせず己で在り続けた。


これはぼくの右脳と左脳の世界のお話





PR








欲しいものは何か

したいことは何か

僕が望むのは何か



「また悩んでいるのかい?」


婆は言う
たまに現れる老いた婆
僕の知識の中じゃ
きっと白雪姫の婆似だ
毒林檎はいかが?
なんて禍々しい笑みで…


「毒林檎が欲しいのかい?」

「ああ、欲しいさ。くれるのかい?」

「あげるよ、望むのならばね」


婆は喉で笑う
毒々しく且、生易しく妖美に


「さあ、どれが良い?」


差し出したたくさんの色の林檎
赤、青、紫、緑、黄、橙、黒、白、桃…
今まで無かった目の前の台
そこら辺の屋台みたいな感じに並べられて
婆ご丁寧にひとつずつ説明していく


「まず、赤色は将来を導く林檎。青は泣けない林檎。紫はしたいことが分かる林檎。緑は忘れる林檎。黄色は…」


拷問だ
毒、ってだけある
僕が望まないことだらけだ


「黒色の林檎は絶望を食べるんだよ」

「ああ、それが良い」

「…悪趣味だねぇ」

「婆に言われたかねぇよ」


婆の方が悪趣味だ
体を包み込む藍色のコートを羽織って皺々の顔
おまけに毒林檎をくれる
趣味…かは分からないが


「白色の林檎は希望を食べるんだよ」

「…なんでも良いよ。それに毒林檎って毒だけに死ぬんじゃないのか?」

「毒の最大の毒は死ねないことだよ」

「…それじゃ、呪いだ」

「それじゃ、白を食べるといい」

「は?別に希望食べられたって仕方がねぇよ」

「白は望みを叶えてくれるんじゃ」


…この婆は認知症だ
先刻、白は希望を喰うって言ったじゃねぇか


「死を望むなら、死が訪れる」

「もう、いいよ。なんでもいい、死ねるのをくれ」

「死を恐れれば、死は訪れない」

「………」

「生きることを望めば希望を与える」


ひひひ、なんて笑いながら
僕に白い林檎を握らせ消えていった
その林檎は変哲のない林檎
握って分かったのは
赤い林檎に白い塗装をした、ということ

僕は笑った
腹を抱えて笑えるだけ笑った

そして白い林檎とやらを齧り食べた



『ああ、僕は生きたい』














僕のおめめは可笑しい
見るもの全て嘘にする

『生きて』

って書かれた手紙が

『死んで』

なんて見える


でも、まだ完全に可笑しいわけじゃない
『死んで』って書かれた手紙は
そのまま読めるんだ
それと見える日と見えない日がある

とても可笑しい日は
耳までも可笑しくなるんだ



「大丈夫だよ、ね?」

【大丈夫だろう?こんなの】



それは必ずしも対にはなるとは限らない

可笑しい日々が1ヶ月続いた
僕の精神も可笑しくなってきた
見える、聞こえるものは全て嘘
嘘なのに、嘘だから
何を信じたら良いのか分からなくて
毎晩泣く夜

苦しくってある夜
目と耳をもぎ取ったんだ
痛かった
でも、目と耳を取って僕は可笑しくなくなるんだって思うと痛みなんて我慢出来た


しばらく僕は可笑しくなかった
何も見えないし、何も聞こえない
暗闇は優しいし、辛くない
でも、楽しくもない

ある日、夢に僕の目と耳が現れたんだ
口が無いから何をいってるか分からないけど
なんとなく分かったんだ
目と耳だけでも笑って僕に言った




「目と耳をありがとう」












「どうして生きるの?」






生死の価値







今思えば馬鹿らしい
そして、
子供らしい質疑。

何故生きるのか。

何故死ぬのか。

思えば唯、
すました子供で
居たかった
それだけかもしれない。



「何で生きてるの?」



世界を冷たく見る事で
大人を振舞っていた。



「生きる価値があるから」



君が言った。
君は僕を
見下している、
ように見えた。



「僕なんか生きる価値も無い」

「そう。だったら死ぬ価値も無いわ」



負けた気がした。
生きる価値も
死ぬ価値も
僕は持って居ない。



「君には死ぬ価値があるっていうの?」

「あるわ」

「ずるい」

「生きる価値は死ぬ価値」

「…」

「生きる価値が在れば死ぬ価値も勝手に付いてくるものなのよ」




そう言って君は、
僕に背を向け
闇に溶けていった。





カレンダー
04 2024/05 06
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31
カウンター
UP
(02/03)
(02/01)
(01/31)
(01/31)
プロフィール
HN:
ざく
性別:
非公開
自己紹介:
twtrとか25生とかやってる今時の子。
*麻雀好き
*VOCALOID好き
*ムック好き
*椎名林檎好き
アニメは広く浅く、お洒落好きだけど上手くいかない系女子
成人してます。

昔から少し落ち着きました
抽出
アクセス解析
バーコード
Powered by ニンジャブログ  Designed by ゆきぱんだ
Copyright (c) 哀惜コンセント All Rights Reserved
忍者ブログ / [PR]